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当院でのお薬手帳の活用、考え方



 当院は今でも院内処方を行っている数少ない医療機関です。院内処方でありながらお薬手帳を無料で発行しています。私はお薬手帳を処方内容、薬の名前を書くだけでなく、皆様との連絡帳と考えています。最近では、個人情報との兼ね合いにも難しいものがあります。当院受診される方は、当院だけを受診されるわけでなく、他の多くの医療機関を受診されるわけです。その場合、当院でどんな治療を行ったかどんな検査をしたのか、経過はどうであったのかをお薬手帳に明示するのは、大切、重要なことだと考えています。

 昔は他院で検査を受けた場合、その結果は口頭で伝える、説明するのみでした。それでは如何なものかと、私は勤務医時代から、血液検査結果はすべてコピーして手渡してきました。しかしそれを保存され、活用される方はあまりに少なく、サービスの限界を感じていました。そんな時、今から16年前です。ある方がお薬手帳ですといって、手帳を提示されました。それをみてこれだと感じました。当院で検査結果も、熱型表も、紹介状も縮小して、お薬手帳に貼り付けることにしました。院内処方、データの貼り付け、その分時間人も手もかかりますが、待ち時間が長くなりますがそれが当院ならではのサービスと考えています。皆様方にも、いつもの風邪とは少しレベルが違うようなことがあった場合、診察室で説明していただくのは勿論ですが、お薬手帳にも症状、経過を記載して下さいとお願いしています。それも痙攣、ひきつけという単語だけでなく、文章で、それを読んだらお母さんが見たこと経験したことがわたくしどもに伝わるように、また受診された場合医師からどんな説明があったか具体的な記載をお願いしています。

 この積み重ねは、お薬手帳を成長記録、宝物に育てていくのではないかと考えています。また年末年始のように長期に休みが続く場合、一度お子様が調子をくずされた場合、2つ、3つの医療機関を受診されることになります。治療が継続せず、何度も経過を説明することになり、次第に内容が増加していきます。後で診る医師ほど大変です。そんなとき、家族が、各医療機関がお薬手帳を利用して、情報の共有を図ることは重要と考えます。けれどそんなことを考えているのは私だけのようです。少なくても当院はその努力を続けていきます。そこには個人情報保護法の大きな壁があります。しかしこと医療に関しては、皆様方の利益になることだと、信じています。

 今は、お薬手帳の持参率は受診される方の90%くらいです。何か記載をいただけるのは10%くらいです。何も毎回、症状の記載は必要はありません。いつもの受診とはレベルが少し違う、心配が強い場合。また自分でつれてこれず、人にたのむ場合、メモ用紙を渡される場合もありますが、その時は直接お薬手帳に記載してくださいと御願いしています。またお薬手帳を忘れた方に次回持参をお願いすると、すみませんでしたという方が多いのですが、お薬手帳持参は医療機関のためではありません。自分の利益のためと御理解いただきたいと思っています。

 皆様の御意見をいただければ幸いです。
 matsumotokodomoc@gmail.com にお寄せ下さい。

  令和3年4月1日  院長  松本延男

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